DVT予防で実力発揮

整形領域、100例以上を達成

北海道でSMO業務を行うCRS研究所は、産婦人科領域の「札幌産科婦人科治験ネットワーク」参加4施設で、月経困難症治療薬の治験をスタートさせた。最近、産婦人科領域は小児感染症ワクチンのリクルート業務が中心だったが、新たに月経困難症治療薬の治験で64例を契約。得意の産婦人科領域でSMO業務が動き出した。一方、昨年は、整形外科領域のCRC派遣業務で実施症例数が急増。特に人工股関節手術後の深部静脈血栓塞栓症(DVT)予防の第Ⅲ相試験で、大きな実績を上げた格好となった。

昨年、CRS研究所の最大の業務となったのは、得意とする整形外科領域のCRC派遣業務。えにわ病院(恵庭市)で、人工股関節手術後DVT予防の第Ⅲ相試験80例を実施した。えにわ病院は、全国的に高い手術実績で知られているが、最近は抗凝固薬の開発競争が激化していることから、契約症例満了後の症例追加が相次いでいる。これにとどまらず、実施中の消炎鎮痛剤の臨床薬理試験20例に加え、ヘルニアと脊柱管狭窄症の試験を合わせ28例を満了するなど、整形外科領域だけで100例以上の満了を達成した。
また、札幌北楡病院(札幌市)では、難治性疾患を中心にCRC派遣業務を実施した。透析領域で高リン血症の試験、血液内科領域で慢性骨髄性白血病(CML)の国際共同治験、大腸癌の化学療法後の好中球減少症を対象とした試験を手がけ、致死的な移植片対宿主病(GVHD)の試験でも1例のエントリーを実現した。北楡病院のCRC派遣業務は、症例数こそ少ないものの、特殊領域の実績として着実に積み重なってきている。
こうして見ると、CRC派遣業務の充実ぶりが目立つが、SMO業務でも得意とする産婦人科領域で動きが出てきた。最近は小児感染症ワクチンのリクルート業務が中心だった「札幌産科婦人科治験ネットワーク」参加4施設で、月経困難症治療薬の治験がスタート。既に64例を契約し、現在進行中となっている。
また、産婦人科領域に次ぐ柱に育ちつつある透析領域は、「H・N・メディックグループ」の3施設で、高リン血症、二次性副甲状腺機能亢進症の試験など44例を終了した。
神経内科領域のSMO業務でも、千歳第一病院(千歳市)と北見クリニック(札幌市)の2施設で実施していた片頭痛の第Ⅱ相試験を終了し、新規で小児片頭痛の試験をスタート。さらに、脳神経外科専門病院の中村記念病院(札幌市)でパーキンソン病治療薬のCRC派遣業務を始めるなど、専門領域を中心に受託が順調に広がっている。
社内的には、事務局業務を含めたCRC業務の取り組みを進め、既にCRC7人全員が対応できる体制を整えた。日本医師会治験促進センターの統一書式入力支援システムを活用し、整形外科領域のCRC派遣業務で進めてきた事務局+CRC業務を、産婦人科領域のSMO業務にも拡大することにしている。
CRS研究所は、産婦人科領域、整形外科領域を2本柱に、北海道内でSMO業務を手がけてきたが、植草友幸社長は「今後はいかに大手SMOと違う形で受託を伸ばしていくかが課題。産婦人科と整形外科の得意領域は、北海道の施設を選んでもらうようにしなければいけない」と話す。
そのためには、「あとはよい仕事をするしかない。この基本をいかに守っていくかに尽きる」と植草氏。北海道でSMOを設立して以来、10年以上にわたって信頼と実績を積み上げてきた。その財産があってこそのSMOという原点を、改めて噛みしめている。

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