リクルート業務で新展開

小児感染症ワクチンに挑戦

CRS研究所(札幌市、代表取締役植草友幸氏)は、産婦人科領域の「札幌産科婦人科治験ネットワーク」を活用し、新たに小児感染症ワクチンのリクルート業務を実施した。
新生児の母親を同意を取得する難しい業務だが、わずか1ヶ月で予想を上回る取得率を達成。
結果的にCRCの高いスキルが証明された格好となった。SMOとして実力の幅を広げたCRS研究所は、昨年の高い実績を受け、今年も小児感染症ワクチンのリクルート業務で200例を受け入れる予定だ。

得意の産婦人科領域では、ネットワーク参加施設を活用し、小児感染症ワクチンのリクルート業務を行うという新たな展開を迎えた。
同意取得の対象となる被験者は、ほとんどが新生児。母親から同意を得る難しさに加えて、小児科・産婦人科の両診療科をまたぐ特殊な業務だけに難易度は高い。
ところが、実際にリクルートを開始したところ、わずか1ヶ月で約120例の同意を取得。
約3人に1人から同意を得た計算だが、治験を実施する医療関係側の受け入れ体制が間に合わないために、エントリーは終了となった。
植草氏は「200例は可能だった」と話すが、もともと同意取得が難しい新生児で、約30%の取得率はかなりの高さと言える。
その背景には、同意取得率を上げるための様々な工夫がある。リクルート業務の実施に当たっては、CRCが赤ちゃんの病気に関するポスターやパンフレットを作成し、治験についても詳しく紹介。
さらに小児感染症の啓蒙活動を地元紙の北海道新聞で展開するなど、これらの準備に半年近くを費やした。
植草氏は、「最初は同意を取得できるか分からない不安もあったが、難易度が高いだけに価値のある仕事だったと思う」と話している。
従来のSMO業務、CRC派遣業務とは違い、同意取得のみに関わるリクルート業務は、CRS研究所にとっても初めての取り組み。
ただ、予想を上回る同意取得率を達成したことで、CRCのスキル向上を裏付ける結果にもつながった。
昨年の高い実績を受け、今年も小児感染症ワクチンのリクルート業務200例を受け入れる予定だ。

SMO業務については透析施設のH・N・メディックにおいて、腎性貧血を対象にしたエリスロポエチンの試験が終了しつつある。
一方で、二次性副甲状腺機能亢進症の試験がスタート。今夏には高リン血症の試験も開始する予定で、透析領域も順調に推移している。
また、神経内科領域の2施設で実施している片頭痛治療薬の第Ⅱ相試験も、引き続き継続中の段階にある。
整形外科領域のCRC派遣業務は、抗凝固薬・抗血小板薬などの開発品目が多くなっていることから、深部静脈塞栓症(DVT)予防の試験が増加傾向にある。
今年も術後のDVT予防をはじめ、ヘルニア、骨粗鬆症、脊柱管狭窄症など、多くの試験でCRC業務を手がける予定になっている。
こうした業務の合間を活用し、英語のテキスト「CRCハンドブック」を用いた勉強会を週1回の頻度で開催。既に1年半近く継続させている。
CRFの英語入力の増加を見込み、グローバル試験の時代にも対応できるよう準備を進めているところだ。