OTCの契約症例を完全達成

少数精鋭で実績重ねる

CRS研究所(札幌市、代表取締役植草友幸氏)は、得意とする産婦人科領域で、昨年開始した性感染症OTCの治験130例を終了。並行して進めていた整形外科領域の110例も無事終了させ、大きな山場を乗り越えた。わずか7人の少数精鋭スタッフで250例以上に 対応したCRS研究所だが、現在も13プロトコールがオンゴーイングであり、SMO業界が苦況にあえぐ中、嬉しい悲鳴を上げている。
★新たに神経内科領域を立ち上げ
CRS研究所が得意とする産婦人科領域は、性感染症OTCの治験に費やした1年だったと言える。「札幌産科婦人科治験ネットワーク」参加の5施設がフル稼働し、130例にも及ぶ治験を実施。契約症例達成率も100%以上と大きな結果を残している。これだけにとどまらず、整形外科領域のCRC派遣業務も、えにわ病院(恵庭市)を中心に、人工関節術後の深部静脈血栓症(DVT)予防試験など、110例以上を終了させた。これら治験に関しては、すべて全国1例目のエントリーを果たし、圧倒的なスピードで存在感を示した。追加症例の依頼もあったが、オーバーワークのために断ったほどだ。 さらに並行して、骨粗鬆症、骨折予防、脊柱管狭窄症の試験も手がけた。SMO業務とCRC派遣業務を合わせ、約1年間で250例以上の業務を成し遂げたことになる。これを実質7人のCRCで対応した ところに、CRS研究所の力が見て取れる。H・Nメディックで開始した透析領域も、皮膚掻痒症の20例を終了。引き続き、腎性貧血を対象にしたエリスロポエチンの新規試験を進めている。こうした状況にもかかわらず、新たにフルサポートのSMO業務として、北見クリニック(札幌市)、千歳第一病院(千歳市)の神経内科2施設を立ち上げた。現在、この2施設で片頭痛の第Ⅱ相試験2プロトコールが進んでいる。CRC派遣業務として、北喩病院、開成病院で潰瘍性大腸炎の治験も新規でスタートさせている。
★ 過去最高の売上高と業績も好調
このように、大型案件が終了した現在も、消化器、整形外科、透析、神経内科の各診療科を合わせて13プロトコールがオンゴーイングであり、得意の産婦人科領域はネットワークの稼動をストップさせているほどの状況にある。 しかもCRS研究所に相次ぐ業務は、全て医療機関側から依頼されたものだ。CRS研究所は設立以来、「黒字経営の医療機関が主体となった無理のない治験」をコンセプトに掲げてきたが、実際に医師との強い信頼関係が培われているからこその結果でもある。もちろん業務の柱は、産婦人科領域と整形外科領域であることに変わりはなく、それだけの実績も十分にあげている。また、昨年から今年にかけては、多忙を極める中で当局のGCP実地調査が4回も入った。植草氏は「苦しい時期だった」 と振り返るが、ある意味では、当局から治験の質を担保された格好となった。SMO業界が厳しい時代を迎えている中、北海道に根づくCRS研究所の好調ぶりは対照的に写る。業績的にも過去最高の売上高を達成し、利益は社員旅行として社員に還元した。また、SoCRA日本支部の法人賛助会員となり、CRCの継続教育と底上げも忘れない。 10人と小所帯のCRS研究所は、常にスタッフの明るい雰囲気に包まれている。それは、これまで多くの実績を上げてきた自信の表れでもある。