リクルート業務を磐石化

新生児で6割以上の取得率

CRS研究所(札幌市、代表取締役植草友幸氏)は、昨年に引き続き、小児感染症ワクチンのリクルート業務を実施し、わずか4ヶ月で230例を達成した。
産婦人科領域の「札幌産婦人科治験ネットワーク」参加施設に加え、小児科領域を紹介施設でカバーしたことにより、国内症例数の4分の1以上を北海道で達成。
同意取得率は6割を超えるなど、昨年以上の実績を上げている。

小児感染ワクチンのリクルート業務は、新生児の母親から同意を取得することに加え、診療科が小児科・産婦人科にまたがる難しさがある。そのため昨年は、わずか1ヶ月で約120例の同意取得を達成したものの、実施医療機関側の受け入れ体制が間に合わず、エントリーを終了せざるを得なかった。
そこで産婦人科領域の治験ネットワーク参加施設に加え、小児科領域を道内の紹介施設でカバーして、リクルート業務を展開。4ヶ月間で国内症例数の4分の1以上を占める230例のエントリーを達成した。同意取得率も6割を超え、昨年以上の高い実績を上げた。
植草氏は「同意を取得するリクルート業務の流れはできた」とし、小児感染症ワクチンのSMO業務の受託を課題と位置づけていたが、小児科領域の実施医療機関を開拓する必要があることから、新たな進出は難しいと判断。今後も小児科領域は紹介施設でカバーすることにしている。

一方、SMO業務は、透析領域の「H・N・メディックグループ」で3施設に拡大した。腎性貧血を対象にしたエリスロポエチンの試験が終了した後、高リン血症の2試験をスタート。さらにリン吸着剤の試験で24例を契約するなど、順調に進行している。透析領域のSMO業務は、産婦人科領域に次ぐ柱に育ちつつあるといえそうだ。
えにわ病院(恵庭市)で実施する整形外科領域のCRC派遣業務は、抗凝固薬の深部静脈血栓塞栓症(DVT)予防が中心だ。競合が激しい抗凝固薬の開発状況を反映し、第Ⅱ相試験で30例の登録を満了した後、さらに2本の第Ⅲ相試験で62例を契約。年内には終了予定となっている。
また、消炎鎮痛剤の臨床薬理試験も20例実施したほか、ヘルニア、脊柱管狭窄症、骨粗鬆症の試験も手がけ、依頼が引きを切らない状況だ。
札幌北楡病院(札幌市)でもCRC派遣業務を行っており、消化器領域の大腸癌、炎症性腸疾患(IBD)、血液内科領域の慢性骨髄性白血病(CML)、移植片対宿主病(GVHD)など、いずれも難易度の高い疾患を手がけている。
新たな取り組みとして、事務局業務を含めた形のCRC業務を開始した。日本臨床薬理学会認定CRCの6人を対象に、整形外科領域のCRC派遣業務で取り組みをスタートさせている。
植草氏は「これまで治験事務局(SMA)業務とCRC業務を分けて行っていたが、CRCも事務局担当者もお互いの業務をすべて把握しておくべき」と狙いを話す。
現在、日本医師会治験促進センターの統一書式入力支援システムを活用し、CRCが事務局業務に対応できるようトレーニングを進めているところだ。
昨年から同社では、国際共同治験に対応するため、英語のテキスト「CRCハンドブック」を活用した勉強会を開催してきた。
さらに、臨床試験で用いる治験薬のメカニズムを理解するため、薬理学的な基礎研究に関する勉強会も行っていく。「研究者の気持ちを理解し、CRCの基礎体力を培いたい」(植草氏)との考えからだ。
CRCの業務は、被験者対応が中心。こうした基本に加え、英語を理解し、事務局業務を理解し、研究者の気持ちも理解できる。認定CRCが大半を占めるようになった今、そんなCRCの育成が植草氏の目標だ。